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【修復・自作】古箪笥をDIY修繕・リメイクしてみた 【修復方法・手順】

小屋から出てきた古箪笥

 解体する小屋から取り出してきた古箪笥、全部で6棹出てきた そんなに保管することはできないので、比較的状態の良い一本をDIYで修復・リメイクしてみることにしたよ。

 

修復前の古箪笥

 祖祖母のもので80年ほど前の嫁入り箪笥らしい、同じデザインの引き出し違いがもう一棹あり、一部前板が割れていた引き出しはそちらと交換した。 

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修繕・リメイク後の古箪笥

 80年の時を経て新しい場所で活躍してもらおう

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では早速リメイクヒストリーを...

 

 古箪笥の中身

 

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 古引き出しの中からはこんなものが出てきた。

桐箱に入ったそれには、海軍を思わせるイカリと星がモチーフのレリーフになっている。

調べてみると昭和初期の「愛国婦人会の会員証」らしいね そう珍しいものではないようだが、大事にしてたから残っているのだろう。

 

 

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 古箪笥に敷かれていた新聞 昭和9年3月3日と読める。

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新聞広告が中々物騒だ、その頃の世相を反映しているのだろうか...

 

ちなみに6棹の箪笥のうち4棹は祖母の嫁入り箪笥で、60年ほど前ものであった、時代としては新しいが、戦前の物がない時代ものもであるためか、作りが華奢であったため、修復は80年物の、この箪笥とすることとした。

 

古箪笥の金具達

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 引き出しの鍵穴の装飾金具、鍵を差すとどの引き出しもちゃんと稼動した、サビも少なく文様が綺麗である。

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 引き出しの取っ手と、装飾金具。 取っ手の部分に錆が多いが、ボロボロとした劣化ではなく錆は浅いようだ、内側では割りピンを曲げで固定されていたが、割りピンや釘の方が劣化が激しい。

 

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 小引き出しの前扉、これを開けると二段の小引き出しにアクセスできる。

金具が多く、重厚な感じでこの箪笥の中では一番のポイントだろう。しかしサビもひどく、金具の取り外しには難儀した。

 

 

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 古箪笥の角部や、引き出しの上下にはそれぞれ金具が付いている。天面付近と下の方は錆が多く出ていた。

 

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古箪笥の金具の取り外し方

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とりあえず手持ちの工具から使えそうなものを集めてみた。

左から車用の内張り外し 大工道具のインテリアバール 自作のヘラである。

結果から言えば一番実用的だったのは車用の内張り剥がしが使いやすかったね、あとは写真にはないが、ステンレスのスクレーパーかな。

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 古箪笥からの金具の取り外しは、少しでも浮く部分に、できるだけ傷かつかないように差し込み、隙間を広げていく。

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僅かでも釘頭が浮いたら、ネジザウルスで釘頭を掴み一本ずつ引っこ抜いていく。この作業の繰り返しなのだが、これが一番全行程の中でしんどかった、小さな古箪笥だが釘の数は思いの外多く、300本近くあったので延べ5.6時間かかったのではなかろうか、古釘がいい感じに錆びてかなり抜けづらくなっており薄い金具の渕を破ってしまうことも度々だ。

 

エーモン 1423 内張りはがし(DX)

エーモン 1423 内張りはがし(DX)

 

  内張りはがしは先端が薄いものが個人的におすすめ

エンジニア ネジザウルスGT PZ-58

エンジニア ネジザウルスGT PZ-58

 

  ネジや釘などを掴んで回すのに抜群の効果があるネジザウルスシリーズ

ドライバを拗らせてなめてしまったネジにも効果抜群です

 

 

金具を外した古タンス

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金具の下には古い塗装が僅かに残っていたが、どのようなものだったのかは判別できなかった、ただ割と生地の色を妨げない、生成りの色合いであったようだ。

 

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引き出しや本体の組み立てには竹釘が多用されていた。こちらは損傷は少なく劣化も見られないのでそのまま使うこととする、一部底板が割れていた引き出しのみ修復作業を行った。

 

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 金具をはずすと、80年分の色の変化がよく分かる、磨きだけで綺麗に取り除くことができるだろうか....

 

再研磨による古タンスの修復

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 もちろん角材にサンドペーパーを巻きつけて手で研磨しても良いのだが、研磨作業は中々大変なので、サンダーを準備した、今回の修復作業では唯一の電動工具であり、最も使用した道具だ。

 

新興製作所 サンダ SDS200D

新興製作所 サンダ SDS200D

 

 磨き系の作業はかなり辛い作業なので、サンダーは安いもので良いので一台ある便利です、どれだけ磨いたかは、出来上がりの品質を大きく左右します。

KAKURI 耐水ペーパーMIXセット 6枚入(#400・#1000・#1500×各2枚)

KAKURI 耐水ペーパーMIXセット 6枚入(#400・#1000・#1500×各2枚)

 

 

 サンドペーパーの番手は細かいものから#2000 #1000 #600 #240 #100を用意した。

 

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左元の状態 右サンダーで研磨

 最近のフラッシュ構造の家具と違って昔の無垢材の家具は、研磨できるのが良いね。サンダーで一皮むけば、古材ながらちゃんと木の香りが戻ってきます。

 

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 粗めの#240を中心に、全体を研磨していく。タンスの主な母材は杉のようだ。木目が浮かび上がってきて美しい。

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 全体を研磨したら、一度濡れ布巾で全体を吹き上げ、汚れの除去とささくれのケバ立たせを行う、ケバ立たせたものを少し細かいヤスリに変えながら研磨していくことで、吸い付くような滑らかな表面に仕上がってくるのだ。

 

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 乾くのを待つ間に、長年の使用で傷んだ部分を修理しておこう。

はみ出した木工ボンドは濡れ布巾でしっかり拭き取っておこう、僅かでも残るとそこだけ変色したり塗料がのらなかったりするからね。

 

古タンスから外した金具の修復

 

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 ちと写真では分かりにくいが、取り外すときにどうしても外れなくて、ベコベコに曲がって反り上がってしまった金具をサンプルに、金具の修復をしよう。

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 必要なのは金床と金槌、我は万力の根もとにある小さな金床を利用した、小さくても良いので、凹んだりしない平らな場所を確保しよう。

 

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 写真は釘が外れなくて、めくれ上がってしまった金具のアップだよ

一見もうダメなように感じる釘穴だが、平らなところでコツコツ叩いていくと

 

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 多少の破れ跡は残るものの、かなり綺麗に直るものである。 これならまた釘を打ってもちゃんと効いてくれるであろう。

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 コツコツ叩いて修復していけば、裏返ってしまってベコベコの金具もこの通り

 

金具の錆び落とし

 古タンスは金具に価値があるらしい、保存に近い修復ならば、できるだけ元の塗装の状態を保つべきなのであろう、錆だけ取るなら、柔らかな真鍮ブラシでコツコツ磨いていくこととなる。

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YATSUYA 真鍮ブラシ 4行 46010

YATSUYA 真鍮ブラシ 4行 46010

 

  間違ってもワイヤーブラシを買ってはいけない、硬い毛先では傷だらけになってしまうからね

 

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 最初はクレ556で少しでも錆を浮かして、コツコツと磨いた...f:id:leon1248:20160509221634j:plain

タンス一つの金具でこの量である、しかもちまちまと磨いても中々綺麗にならない。

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ここは方針を転換して、できる限り一気に綺麗に錆を取り除いた後、再塗装することとした。

 

古箪笥の金具の錆びとり〜サンポールを使用した錆び落とし〜

 

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 サンポールと言いつつ、これは偽物ネオナイスである。まあ中身は同じだ、酸性のトイレ掃除剤を用意するのです。混ぜるな危険というやつですな、よく似ているけれどアルカリ性の洗剤も多いので、見分けるのが面倒ならサンポールを使おう。

 

サンポール 500mL

サンポール 500mL

 

 

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原液の酸性トイレ掃除薬剤に、錆だらけの金具をツッコミ15分待つ、すると表面が泡立ってきて、錆がポロポロと落ちていく。

 手で触るとかなり強い刺激があるので割り箸を使うと良いよ、目に入らないように注意なのです。

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 取り出した金具は、空気中でまた錆出すので、中性洗剤を溶いた水で中和洗いをしよう。

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 そして水分をふき取るとこんな感じ、あらかたの錆と塗装がめくれ上がって落ちている、それでも残る錆は先ほどの真鍮ブラシで磨こう。あらかた綺麗になるはずだ。

 

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 これらは割と綺麗な塗装だったので落とすか迷ったが、再塗装するものと色を揃えたかったので、一度剥離させることにした。 磨きなしでも綺麗に落ちた。

 

 

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 塗料はこちらを使用 つや消し黒タイプはこれしか在庫がなかったのだが、ちと値段は高かった、その分2液混合タイプの塗装強度に期待しよう。

 スプレー缶一本で、タンス一本分の金具の塗装はギリギリの量だったので、できれば2缶用意したい。

 

 

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 いろいろな方向から薄めに吹いて、乾いたらひっくり返してまた吹こう、焦りは禁物だ、時間をかけてよく乾かそう。

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 割りピンは元のものを使ったが、釘は量も多いので、形状と色合いの近い襖釘を利用することとした。

アサヒペン ふすま用道具類 18X16 933引手釘

アサヒペン ふすま用道具類 18X16 933引手釘

 

  アマゾンには価格と量が適当なのが見つからないな、我が使用したのはコメリブランドのもの、70本入りで180円くらいであった それを4袋使用。

 

 古タンスの修復〜焼き杉加工〜

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当初は研磨での白木仕上げにする予定だったが、古材特有のやや灰色にくすけた色合いが、ちょっと古くさい感じに思えた。 繰り返された研磨による吸い付くような触感と合わないように思えたのだ。

 というわけで思い切って燃やしてみることにした。

 

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 杉材のタンスであるから、焼杉加工である。 調理用のガストーチを持ち出して、全面を均質に焦がしていく、焼き具合は赤い炎が一瞬上がって着火するかどうかの瀬戸際がちょうど良いようだ。 着火してしまったらすぐに煽って消そう、燃えすぎてしまっては元も子もないからね。

 

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見た目真っ黒になるまで焼けた杉達、ちょっと心配になってしまうが、クオリアアップ作戦はこれからだ。

 

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 金具のサビ取りでも使用した真鍮ブラシで、繊維方向に合わせてこする。

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すると炭化して削り落ちる部分と、真のように残る部分が木目を浮き上がらせて出てくる。

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 よく磨いたあと、オイル塗料で仕上げるとこの質感! しっとりした触感ながら、艶やかで味のある良い色合いだ。

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 オイル塗布直後はこんな感じ、かなかないい感じに仕上がってきた。

 

  今回も塗料はこちらを使用、割高ながらよく伸びムラなく綺麗に仕上がるのでお気に入りですね 研磨さえシッカリすれば、吸い付くようなシットリした感じに仕上がります。

 

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気をつけるべき2点の失敗例

 こちらは繊維方向に直行して真鍮ブラシをかけてしまったため傷が最後まで残ってしまった、直行方向の方が炭化部分は早く落ちるのだが、傷が痛々しいので木目に沿って丁寧に磨いたほうが良いようだ。

 

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 焼杉時着火に気づくのが遅れて燃えてしまった部分

これもまたカッコ悪い、炭化が進んでしまうとそこだけ削り落ちてしまって角がなくなってしまった、角の部分は特に着火しやすいため注意したほうが良いよ。

 

古箪笥の再組み立て

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 組み立ては出来上がっていく感じがして楽しいものだ。

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元の釘穴に釘を打つ際、穴がバカになって効かないようなら、爪楊枝に木工用ボンドを塗って差込もう、刺さった場所で折り、再度釘を打てば効きが良くなるよ。

 

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修復完了した古箪笥

なかなか良い色合いに仕上がった。

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 今年のゴールデンウィーク前半はこれにかかりきりでした。金具をはずすのが大変で一時は諦めようかと思ったくらいでしたが、無事完成までたどり着けてよかったです。

 この古箪笥は来年建築の新居に飾る予定、今後も何十年も使い続けれると良いな。

 

 

 

クロシオ 民芸調階段箪笥 右下がり 和箪笥

クロシオ 民芸調階段箪笥 右下がり 和箪笥